発行権をめぐる歴史について
本書は秀逸である。
連邦準備制度成立時、ウオール街の支配から国家の通貨とクレジットシステムを民間の手から離そうとするが、結局ドルの発行権を握ったのは、民間銀行だった。
合衆国政府は連邦準備銀行の株式を所有しておらず、各区にある金融機関が株式の所有義務を負うことで通貨の発行から政府を排除し、大銀行が権限を握る仕組みがこうして出来上がる。
こうしたことから金融バブルは、投資銀行による証券化に始まることとなる。しかしバブル後、投資銀行は商業銀行に転身するが、いまのFRBやMMT理論は、更なる現代の「金融づけ」を加速するかの勢いで、情勢下危険であると思われる、と本書は言う。
参考
『商業から読み解く「新」世界史』 宮崎正勝 著