政治=空間の分析(近代日本の国家統治)

権力詣での歴史には、面白いものがあると本書は教えてくれる。

私邸から別荘へ、行きつけの店から省庁へ。上級統治エリートの行動様式は上下に変化。

また旧統治体制との決別を表現するための洋風庁舎など新規性が求められた。

植民地化も国際環境を鑑みながら、この視覚環境は判断された。

そして1930年代の国家統治の完成とは、議事堂や大臣官邸など、国家統治の中心が多くの民衆にも明確になっていくことを意味した。またそうした中心は、反発するアクターにとっても、襲撃の対象にもなってゆくのである。

そしてこれは、「反乱分子までもが同様の空間秩序を受け入れたことの証明でもあった」、と。

 

参考

「近代日本の統治と空間」     佐藤信 著